― 矯正を始める前に知っておいてほしい大切な話 ―
「矯正治療をしたいと思って来ました。今日から始められますか?」
矯正歯科のカウンセリングで、とてもよく聞く質問です。
歯並びに悩んでいた期間が長いほど、「決意した今すぐ始めたい」と思うのは自然なことですよね。
でも実は、矯正治療は初診当日にすぐ装置をつけてスタートできるとは限りません。
これは治療を引き延ばしているわけでも、慎重すぎるわけでもなく、安全で確実な矯正治療を行うために必要なステップがあるからです。
今回は、
「なぜ矯正はすぐ始まらないことがあるのか」
「その時間は何をしているのか」
を、できるだけ分かりやすくお話しします。
矯正治療は「準備」がとても大切な治療です。
矯正治療は、歯に力をかけて少しずつ動かしていく治療です。
見た目だけを整えるように思われがちですが、実際には
- 歯
- 歯ぐき
- 顎の骨
- 噛み合わせ
これらすべてが関係しています。
そのため、現在のお口の状態を正確に把握しないまま歯を動かすことはできません。
家を建てる前に地盤調査をするのと同じで、矯正にも「事前の確認」が欠かせないのです。
まず行うのは「精密検査」です。
矯正治療を始める前には、以下のような検査を行います。
•レントゲン撮影(顎や歯の根の状態を見る)
•口腔内写真・顔貌写真
•歯型の採得(スキャンや模型)
•噛み合わせの確認
これらの検査によって、
•歯はどの方向に動かせるのか
•動かして問題が出ないか
•抜歯が必要かどうか
•どの装置が適しているか
•どのくらい期間がかかりそうか
といったことを判断します。
この工程を省いてしまうと、後からトラブルが起きる可能性が高くなります。
虫歯や歯周病がある場合、先に治療が必要です。

矯正を始める前に、意外と多いのが
「虫歯が見つかった」
「歯ぐきに炎症がある」
というケースです。
矯正装置をつけると、どうしても歯磨きが難しくなります。
その状態で虫歯や歯周病があると、症状が悪化してしまう可能性があります。
そのため、
•虫歯の治療
•歯周病の治療
•歯石除去やクリーニング
を先に行ってから矯正をスタートすることがあります。
「矯正したいのに遠回りしている気がする…」
と感じるかもしれませんが、これは矯正治療を最後まで安全に続けるための近道です。
治療計画を立てる時間も必要です。
検査が終わると、すぐに装置をつけるわけではありません。
検査結果をもとに、
•どんな順番で歯を動かすか
•どこにどのくらい力をかけるか
•途中で起こり得るリスク
•治療期間と費用
などを考え、治療計画を立てます。
この治療計画は、患者さん一人ひとり違います。
同じような歯並びに見えても、骨の状態や噛み合わせが違えば、まったく別の計画になることもあります。
そのため、時間をかけて検討する必要があるのです。
装置は「オーダーメイド」で作られます
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、
多くの場合、矯正装置は患者さんごとに作られます。
•マウスピース矯正 → データをもとに製作
•ワイヤー矯正 → 装置やワイヤーの準備
これにはどうしても製作期間が必要です。
即日で用意できるものではありません。
「すぐ始まらない」は悪いことではありません
矯正治療がすぐ始まらないと、
「自分は後回しにされているのでは?」
「他の医院ならすぐできるのでは?」
と不安になる方もいます。
でも、
きちんと検査・準備をしてから始める矯正治療は、むしろ丁寧で安全な治療です。
•無理な力をかけない
•歯や歯ぐきを守る
•途中で治療を中断しなくて済む
こうしたメリットがあります。
まとめ:矯正は「スタート前」がとても重要です。

矯正治療は、装置をつけた日がゴールではありません。
そこから数年かけて、歯並びと噛み合わせを整えていく治療です。
だからこそ、
•検査
•口の中の環境づくり
•治療計画
•装置の準備
この「始める前の時間」は、すべて治療の一部だと考えてみてください。
「すぐ始まらない」ことに不安を感じたら、
ぜひ遠慮せずに担当医に質問してください。
納得してスタートすることが、満足のいく矯正治療につながります。
矯正治療でお悩みの方はお気軽にご相談ください!
当院では、無料カウンセリングを行っております^^
参考文献
•日本矯正歯科学会 編
『歯科矯正学 第6版』医歯薬出版
•Proffit WR, Fields HW, Larson B, Sarver DM.
Contemporary Orthodontics, 6th Edition. Elsevier
•日本歯科医師会
「歯科矯正治療について」