矯正治療を始めてから、「歯だけでなく顎も痛くなった」「口を開けると違和感がある」「食事をすると顎が疲れる」といった症状を感じる方は少なくありません。
歯列矯正では歯を少しずつ移動させながら歯並びや噛み合わせを整えていくため、治療の過程で顎に負担がかかることがあります。しかし、顎の痛みがすべて異常というわけではなく、一時的な変化によって起こるケースもあります。
この記事では、矯正治療中に顎が痛くなる主な原因や改善方法、受診の目安について詳しく解説します。
矯正治療中に顎が痛くなることはある?

矯正治療中に顎の痛みや違和感を感じることは珍しいことではありません。
歯が移動することで噛み合わせが変化し、それに伴って顎の筋肉や顎関節にも影響が生じることがあります。
特に次のようなタイミングでは症状が現れやすくなります。
- 矯正治療を開始した直後
- ワイヤー調整後
- マウスピースを交換した直後
- 大きく歯が移動している時期
多くの場合は一時的な症状ですが、強い痛みや長期間続く痛みには注意が必要です。
矯正治療で顎が痛くなる主な原因
1. 噛み合わせの変化
矯正治療では歯の位置が変わるため、噛み合わせも少しずつ変化します。
これまで慣れていた噛み方が変わることで、顎の筋肉や関節に負担がかかり、痛みや違和感が生じることがあります。
特に以下のような症例では起こりやすい傾向があります。
- 出っ歯の改善
- 受け口の改善
- 抜歯を伴う矯正治療
- 奥歯の位置を大きく調整している場合
身体が新しい噛み合わせに慣れるまでの過程で、一時的な症状として現れることがあります。
2. 顎関節への負担
顎は「顎関節」と呼ばれる関節によって動いています。
矯正治療によって下顎の位置が変化すると、顎関節に負担がかかることがあります。
以下のような症状がある場合は顎関節が関係している可能性があります。
- 口を開けると痛い
- 顎から音がする
- 口が開きにくい
- 顎が引っかかる感じがする
もともと顎関節に不調がある方は症状が出やすい場合があります。
3. 歯ぎしりや食いしばり
矯正治療中は噛み合わせの変化によって、無意識に歯を強く噛みしめてしまうことがあります。
また、ストレスや緊張も食いしばりの原因となります。
食いしばりが続くと、
- 顎の筋肉の疲労
- 顎関節への負担
- 顎周辺の痛み
が起こりやすくなります。
朝起きたときに顎が痛い場合は、就寝中の食いしばりが関係している可能性があります。
4. 歯の移動に伴う痛み
矯正治療では歯に力を加えて移動させます。
その過程で歯の周囲組織に反応が起こり、
- 歯が浮いたような感覚
- 噛んだときの痛み
- 顎全体のだるさ
を感じることがあります。
歯の痛みと顎の違和感が同時に現れることも少なくありません。
5. 長時間口を開けたことによる筋肉疲労
矯正装置の装着や調整時には長時間口を開ける必要があります。
そのため、治療後に顎周辺の筋肉が疲労し、一時的に痛みやだるさを感じることがあります。
通常は数日程度で改善することがほとんどです。
顎の痛みを改善する方法
1. 柔らかい食事を選ぶ
顎に痛みがあるときは、硬い食べ物を避けることが大切です。
おすすめの食品
- おかゆ
- うどん
- 豆腐
- ヨーグルト
- 卵料理
- スープ類
顎への負担を減らすことで症状の悪化を防ぐことができます。
2. 顎に負担をかけない生活を心がける
顎の痛みがあるときは無理に顎を使わないことが重要です。
以下のような習慣を見直してみましょう。
- ガムを噛まない
- 大きなあくびを避ける
- 頬杖をつかない
- 硬いものを無理に食べない
- 長時間の会話を控える
顎への負担を軽減することで回復しやすくなる場合があります。
3. 食いしばりを意識して減らす
上下の歯は通常、軽く離れた状態にあります。
しかし食いしばりの癖があると、常に顎へ負担がかかってしまいます。
日中は
「唇は閉じる、歯は離す」
ことを意識するだけでも顎の負担軽減につながります。
4. 症状が続く場合は歯科医院へ相談する
矯正治療中の顎の痛みにはさまざまな原因があります。
症状が続く場合や痛みが強い場合は自己判断せず、担当の歯科医師へ相談しましょう。
必要に応じて噛み合わせや装置の状態を確認し、適切な対応を受けることができます。
こんな症状がある場合は早めの受診を

以下のような症状がある場合は早めに歯科医院へ相談しましょう。
- 痛みが長期間続く
- 口が開きにくい
- 顎が引っかかる
- 食事が困難なほど痛い
- 顎から大きな音がする
- 症状が徐々に悪化している
放置すると日常生活に支障をきたす可能性があります。
矯正治療中の顎の痛みを予防するポイント

正しい姿勢を意識する
猫背やうつむいた姿勢が続くと顎への負担が増えることがあります。
スマートフォンやパソコンを使用する際は姿勢に注意しましょう。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は筋肉の緊張や食いしばりの原因になることがあります。
規則正しい生活を心がけることも大切です。
定期的な通院を守る
矯正治療では定期的な調整が重要です。
通院間隔が空くと噛み合わせの変化が大きくなり、顎への負担が増える場合があります。
まとめ
矯正治療中に顎が痛くなる原因として、
- 噛み合わせの変化
- 顎関節への負担
- 食いしばりや歯ぎしり
- 歯の移動に伴う痛み
- 顎の筋肉疲労
などが考えられます。
多くの場合は治療過程で起こる一時的な症状ですが、強い痛みや長期間続く症状には注意が必要です。
気になる症状がある場合は無理に我慢せず、通院している歯科医院へ相談しましょう。
当院ではLINEにて、気になる症状や装置の脱離などがあった場合ご連絡いただくと対応できます◎
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【参考文献】
・日本矯正歯科学会「矯正歯科治療Q&A」
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・American Association of Orthodontists(AAO)
・Proffit WR. Contemporary Orthodontics.
・日本顎関節学会