「矯正用のゴムって、1日に何回交換すればいいの?」
「食事のときに外したゴムは、また使っても大丈夫?」
「まだ切れていないから、同じゴムを使い続けても問題ない?」
マウスピース矯正やワイヤー矯正をしている患者さんから、このようなご質問をいただくことがあります。
矯正治療で使用するエラスティックゴムは小さくて目立たないものですが、上下の歯の噛み合わせを整えたり歯を適切な方向へ動かしたりするために重要な役割を持っています。
しかし、エラスティックゴムは一度装着すればずっと同じ力がかかり続けるわけではありません。
ゴムは使用しているうちに少しずつ劣化し、引っ張る力が弱くなっていきます。髪の毛を結うゴムやずっと使用している輪ゴムなどと同じです。
そのため、当院では食事や歯磨きなどでゴムを外したタイミングで毎回新しいゴムに交換することをおすすめしています。
今回は、エラスティックゴムの交換タイミングや、同じゴムを使い続けるとどうなるのか正しい使用方法についてわかりやすく解説します。
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エラスティックゴム(顎間ゴム)とは?

エラスティックゴムとは、矯正治療中に上下の歯に引っかけて使用する小さな輪ゴム状の装置です。「顎間ゴム」とも呼ばれています。
主に、上下の歯の位置関係や噛み合わせを調整するために使用します。
例えば、上の前歯が前に出ている出っ歯(上顎前突)や下の歯が前に出ている受け口(反対咬合)上下の歯がうまく噛み合わない状態などで使用することがあります。
ゴムをかける位置や方向によって歯に加わる力が変わるため、患者さんの歯並びや治療計画に合わせて使用方法を決めていきます。
また、エラスティックゴムはワイヤー矯正だけでなくマウスピース矯正でも使用することがあります。
ここで大切なのは、エラスティックゴムは単に装着していればよいのではなく適切な力を継続してかけることが重要だということです。
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エラスティックゴムはいつ交換するのが正しい?
結論からいうと、当院では食事や歯磨きなどでゴムを外したらその都度新しいものに交換することをおすすめしています。
例えば朝食前にゴムを外した場合、食事と歯磨きが終わったら外したゴムを再利用するのではなく、新しいゴムを装着します。
昼食や夕食のときも同じです。
つまり朝・昼・晩の食事でゴムを外すので、最低でも基本的に1日3回以上交換することになります。
また、食事以外でも何らかの理由でゴムを取り外した場合は再装着するときに新しいものへの交換をおすすめします。
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なぜ毎回新しいゴムに交換する必要があるの?

エラスティックゴムは、伸ばした状態で使用することで歯に力を加えています。
しかし、ゴムは時間の経過とともにその力が徐々に低下していきます。
これを「応力緩和」や「力の減衰」といいます。
さらに、お口の中は唾液や温度変化などの影響を受ける環境です。そのため、使用時間が長くなるほど最初に装着したときと同じ力を維持することが難しくなります。
見た目にはまだ使えそうでも、ゴムの力が弱くなっている可能性があるのです。
「切れていないから大丈夫」「まだ伸びるから使える」という判断はおすすめできません。
矯正治療では、計画に沿った力を継続的に加えることが大切です。
そのため、外したゴムは再利用せず新しいものに交換する習慣をつけましょう。
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同じエラスティックゴムを使い続けるとどうなる?

同じゴムを長時間使用したり、何度も取り外して再利用したりするとゴムの力が弱くなり歯に加わる力が予定より小さくなる可能性があります。
もちろん、一度交換を忘れたからといってすぐに治療が失敗するわけではありません。
しかし、ゴムの交換を怠ることが習慣になってしまうと十分な矯正力が得られず歯の移動や噛み合わせの改善に影響することがあります。
特に、エラスティックゴムは患者さん自身に装着していただく装置です。
そのため、歯科医院で治療計画を立てても実際の使用状況によっては治療の進み方や口腔内状況が変わる可能性があります。
予定どおりに治療を進めるためにも毎日の小さな習慣が大切になります。
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食事や歯磨きのときはエラスティックゴムを外す?
基本的には食事や歯磨きの際はエラスティックゴムを取り外します。
ただし、装置や治療方針によって指示が異なる場合があります。
食事中は口を大きく動かすため、ゴムが外れたり切れたりすることがあります。また、食べ物がゴムに絡まる可能性もあります。
マウスピース矯正の場合は、食事の際にマウスピースを外すため顎間ゴムも一緒に取り外すことが一般的です。
食事と歯磨きが終わったら、マウスピースを正しく装着し新しいエラスティックゴムを指定された位置にかけ直しましょう。
ここで気をつけたいのが、食後のゴムのつけ忘れ。
「あとでつけよう」と思っているうちに、数時間経ってしまうこともあります。外している時間が長くなればなるほど歯は元あった場所に戻ろうと戻っていきますよ。
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エラスティックゴムは寝るときも使用する?
エラスティックゴムは基本就寝中も使用していただくようお伝えしています。
むしろ、長時間の装着が必要な患者さんにとって就寝中は継続して力をかけられる大切な時間です。
ただし、患者さんの口腔内状況によっては夜は使用しなくていい場合もありますし、逆に夜のみ使用するという場合もあります。
その方によってゴムのかける位置や必要時間は変わりますので、歯科医院の指示に従い使用するようにしましょう。
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エラスティックゴムを忘れずに交換するコツ
毎日の生活の中でゴムの交換を忘れないようにするには、交換するタイミングを決めておくことがおすすめです。
例えば、朝食後・昼食後・夕食後の歯磨きとセットにすると交換を習慣化しやすくなります。
また、外出先でゴムがなくなってしまわないように普段使うバッグやマウスピースケースと一緒に予備のゴムを持ち歩くと安心です。
仕事中や学校で食事をする機会が多い方もすぐに交換できるように準備しておきましょう。
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エラスティックゴムを交換していても、噛み合わせが変わらない場合は?
指示どおりにゴムを使用していてもすぐに噛み合わせが変化するとは限りません。
歯の移動には個人差があり、もともとの歯並びや骨格、歯を動かす距離などによっても治療の進み方は異なります。
また、ゴムを正しく使用していても治療途中でかける位置やゴムの種類を変更することがあります。
そのため、患者さん自身で効果がないと判断しゴムの本数やかける位置を変えることは避けましょう。
「毎日使用しているのに変化がわからない」「ゴムがすぐに切れる」「かける位置がわからなくなった」という場合は、次回の診察時やLINEなどで歯科医院へ相談してください。
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まとめ|エラスティックゴムは外すたびに新しいものへ交換しましょう
エラスティックゴムは、矯正治療中の噛み合わせを整えるために大切な装置です。
小さなゴムですが、使用時間や交換方法によって歯に加わる力が変わるため正しく使用する必要があります。
特に覚えておいていただきたいのは、ゴムは同じものをずっと使用していると劣化し力が弱くなってしまうということです。
そのため、当院では食事や歯磨きなどでゴムを取り外した際には毎回新しいものに交換することをおすすめしています。
「まだ切れていないから使える」と考えるのではなく、食後に新しいゴムへ交換することを毎日の習慣にしましょう。
矯正治療は歯科医師の治療計画だけでなく、患者さんの日々のご協力も大切です。
エラスティックゴムの正しい使用を積み重ねることが計画に沿った歯の移動や噛み合わせの改善につながります。
わからないことや不安なことがあれば自己判断せず、お気軽に当院へご相談ください。
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参考文献
1. Qodcieh SMA, et al. Force degradation of orthodontic latex elastics: An in-vivo study. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. 2017;151(3):507–512. https://doi.org/10.1016/j.ajodo.2016.08.023
2. Yang L, et al. Force degradation of orthodontic latex elastics analyzed in vivo and in vitro. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. 2020;157(3):313–319. https://doi.org/10.1016/j.ajodo.2019.03.028
3. Notaroberto DFC, et al. Force decay evaluation of latex and non-latex orthodontic intraoral elastics: in vivo study. Dental Press Journal of Orthodontics. 2018;23(6):42–47. https://doi.org/10.1590/2177-6709.23.6.042-047.oar