「永久歯が生えてこないと言われた」
「歯が足りないけど、このままで大丈夫?」
こうしたお悩みで来院される方の中に、先天性欠如歯と診断されるケースがあります。これは、生まれつき特定の歯が存在しない状態のことを指します。
では、先天性欠如歯がある場合、矯正治療は必要なのでしょうか?
結論から言うと、「多くの場合、矯正治療を検討した方が良い」です。ただし、すべてのケースで必須というわけではなく、状態によって最適な治療方針は変わります。
この記事では、できるだけわかりやすく解説していきます。
先天性欠如歯とは?

通常、大人の歯(永久歯)は親知らずを除いて28本あります。
しかし先天性欠如歯の場合、そのうちの1本以上がもともと作られていません。
特に多いのは以下の歯です。
- 前から2番目の歯(側切歯)
- 小臼歯(奥歯の手前)
見た目では気づきにくいこともありますが、レントゲンで初めてわかることも多いのが特徴です。
写真で見ると、青丸で囲んでいる歯は4本あるはずが3本しかありません。
放置するとどうなる?
「1本くらい足りなくても大丈夫では?」と思われがちですが、実はさまざまな影響が出る可能性があります。
① 歯並びが乱れる
歯がないスペースを埋めようとして、周りの歯が動いてしまいます。
その結果、すき間ができたり、歯が傾いたりして歯並びが崩れます。
② 噛み合わせのバランスが崩れる
歯は上下で噛み合うことで機能しています。
1本足りないだけでも、全体のバランスに影響が出ることがあります。
③ 将来的なトラブルにつながる
- 虫歯や歯周病のリスク増加
- 特定の歯に負担が集中
- 顎の不調
長い目で見ると、口の中全体の健康に影響する可能性があります。
矯正治療はなぜ必要?
先天性欠如歯がある場合の矯正治療の目的は、単に「歯をきれいに並べる」だけではありません。
主な目的は以下の通りです。
① スペースを整える
足りない歯のスペースをどうするかが重要です。
- すき間を閉じる
- あえてスペースを残す(将来的に人工歯を入れるため)
この判断を適切に行うことで、見た目と機能の両方を整えます。
② 噛み合わせを安定させる
歯の本数が少ない分、バランス調整がとても重要になります。
矯正によって、無理のない噛み合わせを作ることができます。
③ 見た目を自然に整える
特に前歯に欠如がある場合、見た目への影響は大きくなります。
矯正治療を行うことで、自然で違和感のない口元を目指せます。
治療方法は主に2パターン
先天性欠如歯の治療は、大きく分けて2つの考え方があります。
① すき間を閉じる(歯を寄せる)
矯正で歯を動かし、欠けている部分を埋める方法です。
メリット
- 人工歯が不要
- メンテナンスが比較的楽
デメリット
- 歯の形やバランスに工夫が必要
- 見た目の調整が難しい場合もある
② スペースを残して補う
矯正でスペースを整えた後、人工歯で補います。
主な方法:
- インプラント
- ブリッジ
メリット
- 見た目を自然に再現しやすい
- 理想的な歯の配置にできる
デメリット
- 外科処置や追加費用が必要な場合がある
矯正しないという選択はあり?
ケースによっては、すぐに矯正をしないという選択もあります。
例えば:
- 見た目や機能に大きな問題がない
- すき間がほとんど目立たない
- 噛み合わせが安定している
ただし、その場合でも定期的な経過観察は必須です。
時間が経つにつれて問題が出てくることもあるためです。
早めの相談が重要な理由

先天性欠如歯は、早くわかるほど治療の選択肢が広がります。
特に成長期であれば:
- 歯の移動がしやすい
- 顎の成長を利用できる
- 将来の治療をシンプルにできる
逆に、大人になってからだと選択肢が限られる場合もあります。
まとめ
先天性欠如歯がある場合は、噛み合わせの安定のためにも矯正治療をおすすめしています。
治療をご検討中の方は一度ご連絡ください^^
参考文献
- 日本矯正歯科学会
矯正歯科治療に関する一般向け情報
https://www.jos.gr.jp/ - 日本小児歯科学会
小児期の歯の発育と異常に関するガイドライン
https://www.jspd.or.jp/ - 厚生労働省
歯科口腔保健に関する情報
https://www.mhlw.go.jp/ - American Association of Orthodontists
Missing Teeth(先天欠如歯)に関する解説
https://www.aaoinfo.org/ - Proffit Contemporary Orthodontics 第6版
矯正歯科の標準的教科書(欠如歯治療の基本)