「歯並びが気になるから矯正したい」
「マウスピース矯正を始めたい」
近年は、見た目や口元への意識の高まりから、矯正治療を希望される方が増えています。
しかし、矯正相談で意外と多いのが、
「まずは虫歯治療を優先しましょう」「矯正治療前に歯周病の改善が必要です」
と説明されるケースです。
患者さまからすると、「早く矯正を始めたいのに〜」と億劫に感じるかもしれません。
実は、矯正治療は歯や歯茎が健康な状態で行うことが非常に重要です。
虫歯や歯周病がある状態で無理に矯正を始めてしまうと、治療中に大きなトラブルにつながることがあります。
今回は、「矯正治療よりも優先すべき虫歯・歯周病リスク」について詳しく解説します。
矯正治療は「健康な歯」を動かす治療
矯正治療は、歯に力をかけて少しずつ骨の中を移動させる治療です。
そのため、
- 歯を支える骨
- 歯茎
- 歯の根
- 噛み合わせ
が健康であることが前提になります。
もし虫歯や歯周病が進行している状態で歯を動かすと、
- 痛みが強くなる
- 歯が不安定になる
- 歯茎が下がる
- 歯を支える骨が減る
- 最悪の場合、歯を残せなくなる
といったリスクが高まります。
つまり、矯正は「歯並びだけを整える治療」ではなく、口腔内全体の健康状態を考慮しながら進める必要があるのです。
虫歯があると矯正を優先できない理由

1. 虫歯が進行しやすくなる
矯正装置をつけると、歯磨きが難しくなります。
特にワイヤー矯正では、
- ブラケット周囲
- ワイヤーの隙間
- 奥歯
- 歯と歯の間
に汚れが溜まりやすくなります。
その状態で既に虫歯があると、治療中にさらに進行してしまう可能性があります。
小さな虫歯だったものが、矯正期間中に神経治療が必要なレベルまで悪化するケースもあります。
2. 虫歯治療で歯の形が変わることがある
矯正治療は、歯型や噛み合わせをもとに細かく設計されています。
しかし、矯正途中で大きな虫歯治療や被せ物治療が必要になると、
- 歯の形
- 噛み合わせ
- 歯のサイズ
が変化し、治療計画に影響することがあります。
その結果、
- マウスピースが合わなくなる
- 歯の移動計画を修正する
- 治療期間が延びる
可能性も出てきます。
歯周病があるとさらに注意が必要

矯正治療で特に重要なのが、歯周病のコントロールです。
歯周病は、歯を支える骨や歯茎に炎症が起こる病気です。
進行すると、
- 骨が溶ける
- 歯がグラグラする
- 歯茎が下がる
- 口臭が強くなる
などの症状が現れます。
この状態で矯正を行うと、歯を支える土台が弱いため、歯に大きな負担がかかってしまいます。
歯周病と矯正治療の関係
歯周病が悪化するリスク
矯正装置によって清掃性が悪くなると、歯垢が蓄積しやすくなります。
その結果、
- 歯茎の炎症
- 出血
- 歯周ポケットの悪化
が進行しやすくなります。
特に成人矯正では、軽度の歯周病を抱えている方も少なくありません。
そのため、矯正前に歯周病検査やクリーニングを行い、炎症を落ち着かせてからスタートすることが重要です。
歯茎が下がる原因になることも
歯周病が進行している状態で歯を動かすと、歯茎がさらに下がることがあります。
特に、
- 無理な拡大
- 強い力での移動
- 骨が薄い部分への移動
では注意が必要です。
見た目を改善したくて矯正を始めたのに、
- 歯が長く見える
- ブラックトライアングルができる
- 歯茎が痩せる
といった問題につながることもあります。
マウスピース矯正なら虫歯になりにくい?

「マウスピース矯正は取り外せるから安心」と思われる方もいます。
確かにワイヤー矯正に比べると清掃しやすいメリットはあります。
しかし、
- 装着時間不足
- 飲食後の磨き残し
- マウスピース内の細菌繁殖
によって、虫歯リスクが高まるケースもあります。
特に、
- ジュース
- スポーツドリンク
- 甘いコーヒー
などを飲んだまま装着すると、虫歯リスクは大きく上昇します。
マウスピース矯正でも、日々のセルフケアは非常に重要です。
矯正前に行うことが多い検査
安全に矯正を始めるため、多くの歯科医院では事前に以下を確認します。
- 虫歯チェック
- レントゲン撮影
- 歯茎の状態確認
- 骨の状態確認
- クリーニング
必要に応じて、
- 虫歯治療
- 根管治療
- 歯石除去
- 歯周病治療
を先に行うこともあります。
これは「矯正を後回しにしている」のではなく、長期的に歯を守るために重要な準備です。
矯正中は定期的なメンテナンスが重要
矯正治療中は、歯並びが変化していくため、汚れが溜まりやすい場所も変わっていきます。
そのため、
- 定期クリーニング
- ブラッシング指導
- 歯周病管理
- フッ素ケア
を継続することが重要です。
特に成人矯正では、「歯を並べること」と同じくらい、「歯を守ること」が重要になります。
見た目だけでなく“歯を長く残すこと”が大切
矯正治療は、見た目を整えるだけでなく、
- 噛み合わせ改善
- 清掃性向上
- 長期的な口腔健康維持
にもつながる治療です。
しかし、虫歯や歯周病を放置したまま進めてしまうと、本来のメリットを十分に得られない可能性があります。
だからこそ、矯正前には「まず歯を健康にすること」が大切なのです。
まとめ
矯正治療を安全に進めるためには、虫歯や歯周病の管理が欠かせません。
特に、
- 虫歯が進行している
- 歯茎に炎症がある
- 歯周病がある
- 清掃状態が悪い
場合には、先に治療や改善を行う必要があります。
矯正は「歯並びだけを見る治療」ではなく、口腔内全体の健康を考えながら行う治療です。
見た目を整えることも大切ですが、その歯を長く健康に使い続けることは、さらに重要です。
これから矯正を考えている方は、まずは虫歯や歯周病も含めた総合的な診断を受けるためかかりつけの歯科医院を受診しましょう。
必要であれば治療を先に済ませておくと、矯正治療もスムーズに進みます。
矯正治療に関するご相談は、無料カウンセリングにてお待ちしております^^
お気軽にご登録、ご連絡ください♩
参考文献
- 日本矯正歯科学会 編「歯科矯正学」
- Proffit WR, Fields HW, Larson B, Sarver DM. Contemporary Orthodontics.
- 日本歯周病学会 ガイドライン
- 厚生労働省 歯科口腔保健関連資料
- Lindhe J, Lang NP. Clinical Periodontology and Implant Dentistry.