歯列矯正を始めると、「いつも通り歯のクリーニングはできるの?」と疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、矯正治療中でも歯のクリーニングは可能であり、むしろ通常よりも重要になります。
矯正装置がつくことで、食べかすやプラーク(歯垢)がたまりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まるためです。
なぜ矯正中は汚れがたまりやすいのか
装置による“磨きにくさ”
ワイヤー矯正の場合、ブラケットやワイヤーの周囲に汚れが付着しやすく、通常の歯磨きだけでは落としきれないことがあります。
特に歯と歯の間や装置のすき間は、磨き残しが多くなりがちです。
唾液の自浄作用が働きにくい

装置があることで、唾液の流れが変わり、本来の「汚れを洗い流す働き」が弱くなることがあります。
その結果、プラークが蓄積しやすくなります。
歯科医院でのクリーニングはできる?
ワイヤー矯正中の場合
装置がついたままでも、専用の器具を使ってクリーニングを行うことが可能です。
歯科医院では
・歯石除去(スケーリング)
・専用ブラシによる清掃
・フッ素塗布
などを組み合わせて、虫歯や歯周病を予防します。
マウスピース矯正の場合
セルフケアでも、医院でのケアもどちらも同じようにマウスピースを外した状態で通常と同じようにクリーニングを受けることができます。
そのため、ワイヤー矯正に比べると、比較的しっかりとケアしやすいのが特徴です。
クリーニングの頻度はどれくらい?
一般的には、1〜3ヶ月に1回程度のクリーニングが推奨されます。
ただし、以下のような場合は頻度を上げることもあります。
・磨き残しが多い
・歯ぐきの炎症がある
・虫歯リスクが高い
矯正治療中は、通常よりも短い間隔でのケアが安心です。
自宅でできるセルフケアのポイント
① 矯正専用の歯ブラシを使う
ブラケット周囲を磨きやすい「矯正用歯ブラシ」や「タフトブラシ」を活用することで、細かい部分まで清掃できます。
② 歯間ブラシ・フロスを併用する

歯と歯の間は特に汚れが残りやすいため、歯間ブラシやフロスの使用が効果的です。
ワイヤー矯正の場合は、専用のフロス(スーパーフロスなど)を使うと通しやすくなります。
③ フッ素入り歯磨き粉を使う
虫歯予防のために、フッ素配合の歯磨き粉を使用しましょう。
特に矯正中はエナメル質がダメージを受けやすいため、予防ケアが重要です。
④ マウスピースの清掃も忘れずに

マウスピース矯正の場合は、装置自体の清掃も必要です。
専用洗浄剤ややさしいブラッシングで、清潔な状態を保ちましょう。
クリーニングを怠るとどうなる?
適切なケアを行わないと、以下のようなリスクがあります。
・虫歯の発生
・歯周病(歯ぐきの腫れや出血)
・装置周囲の着色
・矯正後に白い斑点(脱灰)が残る
せっかく歯並びが整っても、歯の健康や見た目が損なわれてしまっては本末転倒です。
よくある質問(Q&A)
Q. クリーニングは矯正の調整と同じ日にできる?
A. 多くの歯科医院で同日に対応可能ですが、内容によっては別日に分ける場合もあります。
Q. 痛みはありますか?
A. 歯ぐきの状態によっては軽い痛みを感じることがありますが、通常は我慢できる程度です。
Q. 市販の洗口液は使ったほうがいい?
A. 補助的に有効ですが、歯磨きの代わりにはならないため、あくまで併用として使いましょう。
まとめ
矯正治療中の歯のクリーニングは、治療を成功させるうえで欠かせない重要なケアです。
・歯科医院での定期的なクリーニング
・自宅での丁寧なセルフケア
この両方を継続することで、虫歯やトラブルを防ぎながら、きれいな歯並びを目指すことができます。
矯正中こそ「いつも以上のケア」を意識し、健康的で美しい口元を手に入れましょう。
参考文献
・日本矯正歯科学会「矯正治療中の口腔衛生管理」
・厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口腔の健康」
・Proffit, W.R. et al. Contemporary Orthodontics, 6th Edition
・日本歯科医師会 公開資料